古本屋の高価買取しますは本当か?という話


ブームの時より減少してきているとは思いますが、まだまだネットでの古本屋は多いですね。さてどこも、同じように「専門店です!」「高価買取」「高く買います」異口同音に書いて、なるほど古本屋はそんなに高く本を買ってくれるのかと思う方もいるかと思います・・一度も利用したことが無ければね。

実際のところは、たぶんあなたが思うほど「高価買取」ではありません。
でもお店もそんなに悪辣な商売をしているわけでもないと思うのです。
同じ古本屋の私は言うのも変ですけど。スミマセン。

古本屋を経営するのであれば、その古本を販売した売り上げの中から主要な経費項目だけでも

・商品仕入れ
・店舗費用(倉庫費用)
・荷造運賃
・その他経費
・人件費

を賄わなければなりません。

個人レベルの小規模な店と仮定して、1日1,000円の本が10冊売れても1万円。それがひと月休みなしで働いて30万円。必要な経費を上から順番に引いていって、人件費はいくら?って計算になります。

大規模な古本屋なら店主一人で無理して全てやるというわけにもいかないので、もっと運営管理に経費がかかるでしょう。

そうすると、、やっぱり普通に運営しようと思うと、仕入れ値は中古「販売価格」の20%くらいが上限になっちゃうんですよね。大型店では当然もっと厳しいでしょう。

■買取価格は販売価格の20%くらいが相場だと思うのです
中古販売価格1,000円のものなら200円。しかも状態が「非常に良いもの」でそれです。

あきらかに、すぐ売れることがわかっているものなら、若干のプラス査定はあるかもしれませんが、新書と違ってすべて「買い切り」なわけですから、いつその本の相場価格が下落するかわかりません。ずっと売れない可能性だってあります。

そのあたりも加味して平均すると・・・やっぱり20%くらいかなあとなるわけです。

それぞれのお店にそれぞれの事情があり、買取価格を決めているわけで、この価格じゃないとだめだってわけではありません。

ただ上記の相場観から大幅に外れ、買取価格が10円だったりすると、売る側の気持ちとして「それ、本当に高価買取って書いていいやつ?」って疑いたくなる気持ちはわかります。
それぞれのお店の事情があるとはいえね。

もっとも事実であったとしても「捨てるよりはマシなレベルです」なんてかけないですしね。そうすると広告的な意味を込めて、みな一様に高価買取となるわけですね。

ちなみに書房の目安は中古販売価格の20%程度です。もちろんすべてに機械的に当てはめているわけでなくケースバイケースですが、おおよそ、そのあたりを基準値としています。

■お客様から聞いた話。実際のところ、問題ありのケースもあるようです。
出張お客様から聞いた話ですがホームページの買取事例や事前査定ではとても良い値段を提示して、実際に買取依頼して本を送ってみると、その1/10、場合によっては1/100に近いものもあり古本屋というものが信用できなくなったという体験談を聞きました。結局返却送料が自腹になるため、言い値で売却したそうです。買取依頼した先が、有名どころ(ネット買取の大手。ブックオフではありません)だったということもあり、お客様はネット専業・郵送での買取自体が信用できなくなって、対面での出張買取という形式を選ばれたとの由。他のお客様からも同様の話は聞こえてきています。それぞれの事情があるかとは思いますが、お客様に不信感を頂かせることは業界全体にとってマイナスですよね。。残念です。

■期待値と買取値段
ほとんど古本屋では実際の本の状態を確認してから最終的な買取値段を確定するわけです。以前ほどではないですが、お客様の思う「状態」と古本屋の考える「状態」に差異がある場合、事前査定してあったとしても買取価格が減ることになります。

今の古本は新品時のコンディションを基準に評価することが基本です。古本として状態が非常に良いのではなく、新品時を基準にとなると見方が変わってくるのがわかるかと思います。こちらは最終的な商品の買い手(古本を買う人)が昔にくらべ、古本でも状態が良いのが当たり前だと思うようになっているからです。以前100円の特価本でも、「背表紙のヤケがひどいから、返品したい」と言われビックリしたことがあります。まあ・・そういう時代なのですね。

価格の話に戻すと、お客様から状態が良いと聞いていた本が実際に当店に届いて最終的にコンディション確認すると、おおよそいかのような感じです。

非常に良い 20%
良い 50%
可 20%
買取不可 10%

沢山売って頂ける場合は、買取不可の商品も「可」にしたりすることもあります(笑)。

コンディションが下がれば買取価格も下がるわけで、そうすると期待値はおいくらになるでしょうということですね、ITパスポートとか基本情報あたりの設問で出てきそうな話です。

■店長がエンジニアということで買取アップ(?)
上記は一般的な本の場合。店長がこれは欲しいーと思った本。読んでみたいと思った本が見積もりのリストに入っていた場合、その本の買取価格がアップすることがあります。これは完全に買取相場無視ですね。ある意味、「オレオレ買取価格」。たまにあります。
本を商品として扱っていると「売値」「買値」だけで本を評価する(商売としては決して間違っていませんが)、それだけになってしまいます。そういう本屋さんも多いと思います。当店では店長自身がまだ現役エンジニアとしてアンテナ張ってますので、一人の技術者として、「これほしい~」と思った本は「買取価格アップ~」となるわけです。このあたりの人間臭さが嫌いな人にはごめんなさいですが。

■買取依頼先はたくさんあります。
〇〇のことは嫌いになっても、△△は嫌いにならないでください。というフレーズありましたね。古いですが。△△には古本屋を入れてください。〇〇はご自由に自分がダメダこりゃと思った古本屋を。

きっとお客様の好みに合った買取をやっている古本屋はあります。・・たぶん。
言うまでもなく、ネットでは自己PRと広告、そして真実の評価が入り乱れもはや混沌としています。いかにも良い評価を受けていますという風に誘導するのが広告の基本だと思うので、これは仕方ないのかもしれません。

お客様が「やられた」ということにならないように、この記事は参考情報として記しました。今後も、エンジニアの皆様と古本屋の関係が良好に続きますように願います。

それは当店(福書房)ではないかもしれませんが、それでいいんです。

もちろん、それが福書房だとサイコーなのです!