ジャノメミシン JA525を自分で修理


[福書房とは関係ありませんが困っている人が多そうなので]
予め申しておきましょう。コンピュータ技術書の専門店である福書房とは全く関係ない話です。自宅でちょっとした縫い物に使いたいと妻が購入したミシンの話です。

このミシン、ネット検索してもらえば分かるのですが結構悪い評判も多いです。 それでも我が家で購入したものは1年半くらい頑張ってくれていたようです。

そんな幸運であった我が家のミシンですが、とうとう針がミシンに当たって一切縫えなくなるという症状が出てしまいました。

保証は効くのか?メーカー修理はできるのか?

この商品自体にはメーカー保証はついていましたが、上記の通り1年半は正常に働いてくれていたので期限切れです。メーカー修理はどれくらい費用がかかるのだろうと調べてみると。。なんと「このミシン壊れたら修理不可能と、お客様相談室の人が言っておられました。部品交換が出来ない構造なんですって。」との書込みを価格.comで発見。え~修理できない構造って、どんな構造よ?と逆に興味を持ってしまいました。

ならば自分で!

技術に携わるものの端くれとして、このまま何もせずあきらめることは出来ません。 どうせ壊れたのなら、更に自分が壊したところで・・・という覚悟のある方のみこの先の記事を参考にしてください。もちろん、お約束ですが、このホームページの通りにやってどのような結果になっても、当方では責任を負えませんので、あくまで「参考」ですよ。

そもそもミシンの構造を知らない

えーと。小学校の時に家庭科で習ったような気もしますが、正直な話、全て忘れてました。上糸と下糸の「なんだっけ?それ?」って言うくらい。今は当時と違ってインターネットで様々なものが調べられる便利時代。さくっと調べます。

全体像:いろんなギアの組み合わせで動いています

ミシンとはどういうものか(そもそもの話)

上糸と下糸という2本の糸を自動的に絡めながら、ミシン針(まあまあ大きい)を通じて布などを縫いこむ機械・・ですね。下糸の構造は垂直釜が一般的であるが、最近では扱いが簡単な水平釜が普及している・・と。この釜の中のボビンケースにボビンという糸巻きが入っており、下糸はそれに予め巻いておく。

JA525は水平釜、その動きは?

水平釜の場合、ミシン針が最深部から抜けるタイミングのときに一瞬糸がたわむ、そこに回転してきた水平釜の糸を絡めるエッジが入ってきて上糸をつかみ、さらに回転。糸はボビンケースの上を滑りながらすすむ。さらに下糸に絡む。縫い続ける間、この工程を繰り返す。

トラブル1:ミシン針が入らない

水平釜のボビンケースの位置がずれて、本来あたってはいけない場所にミシン針が当たっている状態でした。ということで、まずはこの部分の修正ですね。

ボビンケースの上蓋。この金具は外側に大きく開いていました。本来この金具はボビンケースの必要以上の回転を防止するもののようなのですが、何かのタイミングでここを乗り越えてしまったようです。ケース側にも傷がついていました。金具を一旦取り外し、ペンチで修正。ケース側も傷を耐水ペーパー(800番くらい)で表面を滑らかに処理しまし。 これでミシン針は入るようになりました。

分解図1 上蓋(修正後の写真です。金具が大きく左に開いてしまっていました)

 

 

 

 

 

分解図2 ボビンケース(細かい擦り傷が無数についていました)

トラブル2:上糸が入っていかない

水平釜によりミシン針が入るようになったものの、上糸がうまく入っていきません。よ~く水平釜の動きを見ると・・・針が最深部に入ったときに水平釜がエッジを絡めるタイミングがずれてしまっているようです。次はこの部分の調整ですね。

分解図3 水平釜(エッジに細かい擦り傷が多数入っていました)

 

 

 

 

 

分解図4 ギアボックス(調整後に次回に備えて赤ペンでマーキングしました)

 

 

 

 

 

まずは水平釜のエッジを磨いてみます。ここでも耐水ペーパー800番を使いました。かなりトンガリ君になりましたが、それでもまだ100発100中で上糸を補足してくれる状態にはなりません(->3回に1回くらい入る)。

本体ギヤボックスのこの部分のギアを数段づつずらしていきます(ネジを緩めて->ギアをずらして->ネジを締めて->様子見の繰り返し)。お・・・・やった!

直った!

上記はまとめて書いたので、すぐに直せたかのように見えますが、結構時間かかってます。 そもそもミシンの構造を調べるところから始まってますからね・・・自宅で夕食後にテレビ見ながらやっていたとはいえ、3日かかりました。次回からは同じトラブルなら30分で直せそうです(笑)

最後に

図らずもミシンの構造から勉強することになり、結果として自分でミシンが使えるようになりました。ま~何でもやってみるもんですね。ミシンも直って嫁さんも喜び結果オーライです。

なお冒頭でも書きましたが、福書房はコンピュータ技術書を専門に扱う古本屋です。 ミシンの販売・修理は行っておりませんのでご注意ください。